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 離婚協議書は公正証書で作成したほうかいい?

たくさんご相談いただく内容の1つに「離婚協議書は公正証書で作成したほうが良いのか、それとも私文書で十分なのか?」とご質問をいただく機会が多くございます。

結論から申しますと☝

お客様のおかれている状況や相手方の状況、協議内容に応じて、私文書の方が向いているケースと公正証書が向いている場合に明確に分かれてきます。案件ごとにそれぞれ異なってくるのです☝

なお、金銭の支払いを強く担保したいときは公正証書がベター、何かとさじ加減の必要な内容のときや、グレーゾーンな書き方が必要なとき、ササッと合意にこぎつけたいようなときは私文書の方がベターな傾向があります☝

さらに、離婚協議書に記載していく各条項については、状況に即した最善な記載方法がありますので、離婚協議書を作成するときの注意点や記載方法、具体的な事例などを交えて、わかりやすく解説させていただきます☝

「大変リーズナブル」に離婚協議書が作成できることで評判の栄ガスビル4階にある離婚あんしんサロンとご一緒に、離婚協議書を作成するときの注意点や書き方を確認してみましょう☝

 離婚協議書を作成する理由は?

離婚協議書を作成する主な理由は2つあります☝

 離婚に際してお互いの約束・取り決めごとを書面にしておくことで、将来にわたり、約束・取り決めごとを守るよう働きかける効果(事前抑止効果)があります。

 将来万一、約束・取り決めごとが守られなかった場合に、その離婚協議書を利用して相手に対して権利主張・義務履行を強制していくという効果(強制履行効果)があります。

なお、公正証書により離婚協議書を作成した場合は、強制執行認諾条項を入れることができ、金銭の給付について約束が破られた場合、その公正証書を利用して、執行裁判所を通してすぐに相手の財産を差し押さえることができる特徴がありますが、離婚協議書を作成する際の両者の協力状態や、義務を履行していく側の資力要件の問題、その他の事情に照らして公正証書により離婚協議書を作成したほうが良いかどうか、その必要性も含め、ご一緒に検討して参りましょう。

離婚あんしんサロンでは、あなたに合った内容・ボリュームで、離婚協議書をオーダーメイド大変リーズナブルに作成することが可能です☝どうぞご利用下さい。

公正証書にするか、私文書にすべきか。

婚協議書を作成する場合、次のような要素を踏まえ、私文書(しぶんしょ)にするか、それとも公正証書(こうせいしょうしょ)にするかを検討いたしましょう☝

① 両者の協力状態

公正証書により離婚協議書を作成する場合、両者とも公証役場に集合(平日の日中のみ)する必要があります。(代理人によることもできますが、配偶者が相手の代理人もすることはできません☝)

よって、相手が協力的でない場合は、公正証書で作成すると公証役場へ(仕事を休んで)行かなければならず手間がかかることや、公証人の立ち会いのもと行われるため仰々しいと感じることもあり、公証役場に来てくれいない可能性もあります。

相手が、どうしても公正証書はイヤダ!と譲らないときは、無理にごり押ししても進まなくなるリスクもあるため、公正証書で作成したい場合は、「今後のお互いの人生や、子供の将来にも大きな影響をあたえることなので、公正証書でしっかりと作成しておきたい。」というように、説得力の増す理由を用意して話を出してみることが必要でしょう☝

それでも頑なに拒否する場合は、相手に感情のしこりがまだまだ大きく残っている(感情的な部分が整理できていない)可能性もありますので、ガス抜きの手法を事前に入れる必要があるかもしれません。なかなかなときは私文書で対処しておくのも1つの選択肢です。

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一方、こちらに良い条件で、相手からのOKが出たので、相手が気持ちの変わらない今のうちに合意してしまいたいようなケースは、スピード重視の私文書が向いているときもあります☝

 

② 相手方の経済状況・資力要件

例えば、相手の経済状態が思わしくない場合や、無収入の状況の場合は 、作成する側としては、何としてでも公正証書にすることで、相手に支払いを強制したい!という心情になるものですが、公正証書により離婚協議書を作成し法律上(形式上)は強制執行をすぐにできるような記載ができたとしても、実情としては、差し押さえるものがないため、実効性が見込めない、というケースも多々ございます。

また、中長期的には、公正証書により離婚協議書を作成しておけば、相手の経済状態が良くなり、または資力要件が豊かになったときには、迅速に強制執行ができるという側面・メリットがありますので、公正証書で作成しておくことは、やぶさかではありませんが、経済的理由が主たる理由で離婚したケースは、かなりの確率でその後に相手の資力が豊かになるケースは稀といえるでしょう。

統計的には、資力要件に乏しい状況に比例して、公正証書による離婚協議書作成にまで至れないことが多いようです。

なお、お互いに子供のことは非常に大切に思っており、子供を路頭に迷わせたくない、出来る限りは支払う気持ちはある!という責任感あるあるタイプのケースでは、公正証書で作成するケースが、子供に対する責任感の大きさに比例して多い印象です☝

 

③ 約束ごと・取り決めごとの重要度

離婚の際の約束ごと・取り決めごとに重要でないものはありません。ただし、あえて重要度を考えるとするなら、例えば

(1) 金銭的請求権がより大きい場合

(2) 不動産を含め、取り決め事由が複雑かつ多岐にわたる場合

(3) 解釈等により将来トラブルになりやすい論点がある場合

(4)  年金分割請求を妻側のみで行いたい場合

などは、公正証書により、より正確かつ厳格な書き方で離婚協議書を作成しておいた方が明らかにベターなケースです☝

また、公証人という法曹界での実務経験30年を超える経験豊富なベテラン専門家が適切に離婚協議書の条項についてアドバイスをくれますので、将来にかけてより問題の生じにくい、確実な離婚協議書の作成が実現できるという側面がありますので、時間や費用が少々追加でかかっても、お互いにとって、より確実に離婚協議書を残しておきたいような場合は、やはり公正証書をおすすめいたします。☝

ただし、お互いの約束ごと・取り決めごとの書き方として「グレーゾーン」「不確定要素」もあるけれど、お互いの中で良しとするようなケースは、良い意味で文言を誤魔化す必要があるため、私文書の方が向いているケースも多々あります。☝

どちらの作成がいいか迷われたときは、離婚あんしんサロンにお気軽にご相談いただければ、お客様に最も適した方法をご提案させていただきます☝

離婚届と離婚協議書作成のスケジュール

離婚届と離婚協議書を交わすタイミング

はどのようにするのがいいのでしょう。

役場への離婚届が先で、あとに離婚協議書を取り交わせばいいのか、それとも離婚協議書を先に取り交わしてから後に、離婚届を提出すればいいのか・・・離婚時の状況にもよりますが、定石かつ最善なのは、離婚協議書と離婚届を同時並行で準備していき、離婚協議書の取り交わし(署名捺印)と離婚届の取り交わし(署名捺印)を同時に行なった上で、離婚届を役場に提出する形が最善だと言って間違いないでしょう☝

ただし、不動産の財産分与や住宅ローンがからむ場合には、登記の事前準備(司法書士)や、住宅ローンについての打合せ・準備(銀行)も必要となりますので、各窓口との打合せ事項やスケジュールを組んでおくことが大切です。

不動産の財産分与や住宅ローン変更のある進め方・スケジュールはこちら >>>

 

離婚届を先に提出し離婚が成立したが、離婚協議書は取り交わしていないケース

を考えてみましょう。

離婚後の元夫婦が同居することは原則はまずないでしょう。よって、お互いそれぞれの日常生活が始まり、ある程度の時間が経過してから、離婚協議書をお互い協力的に作成していく気持ちは時間の経過と共に薄れる傾向にありますので、よっぽどお互いの利害が一致しない限りは、なかなか難しくなっていくことが多いでしょう。

また、精神的な辛さから逃れるために、ひとまず離婚届を提出するケースもありますが、本来的・全体的解決には至らないケースが多く、結局、離婚成立後に離婚協議書の取り交わしをすることが出来ず(相手方と連絡がとれなくなるなど)、金銭的な取り決めも何ひとつ出来ずに終わるケースもあるため、先走り離婚届優先型には特に気をつけましょう☝

 

離婚協議書を先に取り交わした後、離婚届を提出するケース

はどうでしょう。

このケースは、基本的には問題がないことが多いですが、離婚協議書の法的効果(財産分与などの効力発生効果)が離婚届による離婚成立を要件としていることや、離婚協議の内容を書面化し、お互いに署名捺印をしたところまでは良かったが、その後、何らかで事情が変更し、離婚届の提出まで至れないことも理論上はありえます。そうしますと、せっかく交わした離婚協議書の内容の効果が生じない結果となってしまうリスクがあります。

また、離婚に至るプロセスにおいて、当事者間だけで話し合いを進めてきたようなケースは、正式な離婚協議書作成の前段階として、双方の取り決めごと等の概要をメールなどで残したり、「念書」「覚書」「確認書」などの名目で、お互いの確認用として簡単に作成されるケースも良く目にいたします。

決して悪いことではなく、むしろ、約束ごとの概要・ポイントを何らかの文面に残し、あとで「言った言わない」がないようにしていく作業はとてもいいことです。

一方、どうしても「概要」「イメージ」的な取り決めが多いため、文章・文言的には、特定性に問題があったり、法的効果が生じない内容であったり、解釈違いで双方の認識に誤認が生じトラブルやすい内容になってしまっていたりと、思いのほか正式な離婚協議書にまとめようとすると、無理が生じることがあり、根本的な条件変更の必要が生じることもあったりします。☝

ですから、どんな書面を作成するにしても、後々問題が生じないように、第三者専門家のチェックは最低限入れておくことが最善です。☝

 

離婚協議書の作成及び取り交わしの場面は、将来の何百万~何千万円の経済的取り決めを含めた調整をしていくと考えれば、万一にも間違いがあっては後悔してもしきれません。少し費用はかかったとしても、適切な専門家による離婚協議書の作成をおすすめいたします☝

離婚あんしんサロンの離婚協議書サポートは、必要に応じてチョイスいただけるサービスラインを整えていますので、大変リーズナブルだとご好評いただいています。☝例えば、打合せ+その場でご提出サポートプランであれば、かかった時間に応じて料金が発生(15分2500円税別)のため、1万円~3万円の範囲で確実な離婚協議書をその場でご入手いただけますので便利です。

条項①(離婚届の提出)

離婚届出を役場に提出する「人」と提出する「時期」を離婚協議書で明確化しておきましょう。

なお、離婚届は、書面上の記載事項・要件がすべて整っていれば、両名で必ず届出る必要はなく、夫婦の片方だけで窓口へ届出ることも可能です。☝

離婚届への記載事項については、妻と夫の署名捺印、証人2名の署名捺印が必要です。さらに、「親権者」を定めておく必要があるとともに「面会交流」「養育費の分担」についても、子の監護に必要な事項として父母の協議で定めることとされています。ただし「面会交流」「養育費の分担」の取り決めが出来ていない状態でも離婚届は受理されますが、本来的には、子供のための取り決めごとも十分に協議できた上で、離婚届の提出ができれば最善でしょう。

離婚届は、配偶者の片方1人で役場に提出することができます。必ず両名で役場に出向き提出する必要はありません。また、本籍地の役場または住所地の役場のどちらでも受理されます。(ただし、本籍地と住所地が異なる場合で、住所地へ届け出た場合は、本籍地における戸籍の記載変更までに多少の時間がかかるようです。)

条項②(親権・養育費・面会交流)

「親権者」を定めましょう。

そもそも親権とは ①身上監護権及び同義務 と ②財産管理権 から成り立っており「身上監護権及び同義務」とは → 未成年の子供に、独立した社会人としての社会性を身に付けさせるため身体的に監督・保護し、また精神的発達を図るために配慮すること をいいます。

また「財産管理権」とは→未成年の子供が財産を保有する際に、その財産を管理し、その財産上の法律行為について子供を代理し又は同意を与えたりする権利 をいいます。

なお、未成年者が乳幼児の場合で、妻側に落ち度・過失などがない限りにおいては、親権者は妻側がなるケースが多いといえるでしょう。また、理論上は、財産管理権を夫側が、身上監護権を妻側が持つような分離方法も認められていますが、実情として、親権の分離を離婚協議書にうたうケースは少ないといえます。

親権の詳細はこちら >>>

親権を離婚後に変更できるか? >>>

親権は財産管理権者と身上監護者に分けられる >>>

 

「面会交流権」を定めましょう。

親権者ではない(身上監護権がない)側には、子供を育児の現場で監護養育することができない(しなくてもよい)ため、代わりに「面会交流権」が与えられます。字のとおり、子供と面会し交流することのできる「権利」なのですが

離婚のときの身上監護権者側の心情としては、「ただでさえ忙しく時間がない日常なのに、わざわざ面会交流の調整や対応をするのはかなり負担!当面は面会はなしにしたい!」という本音が見え隠れするケースが非常に多い実情があります。

一方、面会交流は「権利」です。子供へのDVや悪意の遺棄などの重度な落ち度、子供の健全な育成を妨げる重大な要素がない限りは、認められる権利のため、平均的には「月に1回程度」で設定されるケースが多いと言えます。

なお、お互いに、両親と接する機会を多く確保することが「子供の健全な発育・育成」にとって大切だと理解している同士であれば、身上監護権権者(親権者)も積極的に面会を尊重し、まさに円満離婚の1つの形といえるのですが、お互いに負の心情が根深い離婚のケースは、やはり面会させたくないのが本音です。

面会交流権の詳細はこちら >>>

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「養育費」を定めましょう。

親権をもたないには、養育費の支払い義務が生じます。現場の監護養育の義務を負担しない代わりに、養育費という形で子供への養育義務を果たすという考え方です。ただし、現実的には、現場で子供の世話をする身上監護権者(親権者)の負担に比べ、法律上最低限定められている養育費負担相場額の支払いだけでは、とても親としての義務を果たしたとは言い難い実情もあるのではないでしょうか。

この「養育費」について離婚協議書で定め、明確化しておくことは最重要です。通常は「毎月」「金〇円」を「いつまでに(自活するまでの学生卒業までが多い)」支払うのかを明確化しておく必要があります。例えば「満18歳まで」と法律上の成人とするケースもあれば、今どき一番多数を占めるのは「大学を卒業する年の3月末まで」とするケースも多くあります。

また、大学受験浪人をしたときや、学校を中退し就職したとき、大学を浪人したときなど、イレギュラーなときもカバーできるような記載方法もあります☝

なお、一時的な大きな支出、例えば、入学費用や毎年の学費、あるいは、大病気や大ケガのため必要となる手術代・治療費なども、お互いに合意出来る限りは、毎月の養育費以外の支払いとして、離婚協議書に記載しておくことも可能です。ただし、原則は、毎月金〇円を支払うとする毎月の固定額にすべての支払い要素が含まれており、その中でやりくりをすべきことが原則ですので、支払う側が、別途支払うことを拒否する限りは、強制はできませんので、上手く折衝を進めていきましょう。☝「子供が路頭に迷わないように」「あくまで子供のためのお金で、私が自由に使えるお金ではない」ことを説明し、説得力をもって折衝できると最善です☝

子供のいる離婚と気をつけるべきことはこちら >>>

※口約束で払えるときは払うような約束をしても、払ってもらえないものと覚悟いたしましょう。特に金銭の支払いについては、書面化することが、何よりも大切であることを肝に銘じておきましょう☝

養育費についての詳細はこちら >>>

養育費の増加・減少請求ができるのか >>>

条項③(財産分与)

離婚協議書作成において、子供の養育費とともに最重要視されるのが、この「財産分与」です。

 

 財産分与は3種類

財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して作り上げた財産を離婚時に分与することをいいますが、夫婦共有財産の清算としての性質(清算的財産分与)と離婚後の扶養的性質(扶養的財産分与)、さらに慰謝料としての性質(慰謝料的財産分与)があるといわれています。

 

対象となる財産は

財産分与(清算的財産分与について)の対象となる財産とは、どのように判断されるのでしょう。夫婦が婚姻期間中に協力して作り上げた財産が対象となりますので、結婚前から有していた財産(独身時代に稼ぎ貯蓄してきたお金、結婚前に親から贈与を受けたお金や相続した財産など)や、婚姻期間中に相続により取得した財産は対象となりません。

具体的には、現金・預貯金や、夫婦家族で生活していこうと取得した不動産(その住宅ローン※負の財産も原則含まれます)や車、有価証券などの金融資産も対象となり、積立型の保険学資保険なども対象となりますし、給料の一部を投資し儲けたお金も原則対象になるといわれています。(ただし、投資をするにあたり、その配偶者にしかない個別特有の高度な技術を要した結果儲かったような場合は、その儲けすべてが対象となるわけではありません。)

特に学資保険などの積立金の部類は、あくまで子供のために将来利用するお金なので、今後も子供の面倒をみていく側の親からすれば、財産分与で半分ずつは納得できるものではありませんが、法律上は学資保険も対象となってしまいます。

また、退職金についても、支給済みは当然決められた範囲が対象となりますが、将来支給されるものまで、近時の裁判例では認められる傾向にあります。例えば、離婚してからあと5年で退職する予定の場合は、婚姻期間中の退職金が受給できる権利(金額)を算出した上で、その半分の額を相手に請求していくイメージですが、一方、支払う側も、退職金が将来所属する組織から支給されたときでないと支払えない、というケースも多いため、離婚のときにすぐ支払うのか、それとも、将来支給されたときに遅滞なく支払うようにするのかも詰めていく必要があります。

 

負債はどうなるの?

負債・マイナス財産(特にマイホームの住宅ローン)についても、分与の対象になることが原則ですが、ギャンブルやお小遣い程度を超える浪費により配偶者の承諾なく勝手に作った借金(承諾なき個人的負債)は財産分与の対象になりませんが、稼ぎや生活費が足らない結果、暗黙で借り続けてふくらんだ生活費のための借金は原則財産分与の対象になるといわれています。

 

財産分与には時効があるの?

財産分与の取り決め事項は、必ず、離婚協議書に明確に記載いたしましょう。また、財産分与請求権は離婚成立より2年で消滅してしまうますので注意致しましょう。また、この2年は「除斥期間」という性質のものであるため、2年経過したときに相手が主張してきたときに限り消滅する「時効期間」とは異なり、2年経過時に自動で消滅してしまうため、必ず2年経過前に相手と取り決めておくことをおすすめ致します。

それでも2年経過してしまいそうなときは、裁判所を通した手続きを行い、審判や判決などが確定すれば、そこからさらに10年間は消えることがなくなりますが、多くの労力・時間・お金がかかりますのでオススメではありません。

条項④(慰謝料・解決金)

 慰謝料の発生するとき

離婚協議書の作成において、離婚慰謝料(または「解決金」などの名目で)により、離婚によって被った精神的苦痛を賠償することがあります。

ただし、相手方配偶者に「不貞行為」「暴力・虐待行為」などの有責行為、離婚事由に明らかに該当するような落ち度が存在していなければ、離婚慰謝料は当たり前に発生するものではありません。

また、離婚における慰謝料の概念は、交通事故などの車が壊れたことに対する損害賠償(壊れた車の修理代)のような算定がしやすいものではなく、いわゆる「夫婦間の信頼関係が壊れた」ことによる「心が壊れた」ことへの賠償ですので、その算定はとても難しく、世間ではいろいろな夫婦や価値観がありますので、何でもかんでも慰謝料を認定してくれる傾向には全くありません。

むしろ、離婚における慰謝料の概念は、かなり高い基準での慰謝料要件を満たしていない限り、慰謝料は発生しない、もしくは、発生してもごくわずか、という傾向がありますので、「相手に慰謝料を請求したいくらいだ!」という感情はよく起こるのですが、性格の不一致や価値観の違いによる心労や、家事育児の方針違いからくるストレスや不信感について、慰謝料が発生することはまずないと考えていきましょう。

 

 慰謝料はどのようにして決まるの?

離婚慰謝料の算定については、① 有責性(落ち度) ② 背信性(信義誠実性)③ 精神的苦痛のレベル ④ 婚姻期間の長さ ⑤ 社会的地位 ⑥ 支払い能力 ⑦ 子供の年齢 ⑧ 離婚後の扶養の必要性 などから算定されるといわれています。特に、有責配偶者の落ち度の度合い・婚姻期間の長さ・有責配偶者の支払い能力が大きく作用するといわれています。

なお、浮気(不貞行為)に伴う離婚慰謝料については、有責配偶者とその不倫相手の共同不法行為(不真正連帯債務)となるため、両者に対して、またはそれぞれに対して慰謝料請求をできることとなりますが、浮気をした経緯・原因によっては、浮気した不倫相手への慰謝料請求が認められない、または不倫相手への請求額が非常に低い金額になることもあります。

浮気された側としては、まずは「浮気相手にガツンッと請求したい」ケースも多いため、満額突き付けたいところだとしても、結果的にはそうもいかないケースもあると心得ておきましょう☝

 

離婚慰謝料の取り決め事項がある場合は、必ず離婚協議書に明示しておきましょう。また、離婚慰謝料の時効期間は、浮気を知ってから3年(又は浮気を知らずに時間が経過したときは、浮気行為から10年で消滅)ですので注意いたしましょう☝

条項⑤(年金分割)

 離婚協議書へ記載しましょう☝

年金分割をする場合は、必ず公正証書による離婚協議書を作成することをオススメいたします☝

離婚成立後に年金分割請求を所轄年金事務所にすることとなりますが、離婚協議書を公正証書により作成し、年金分割条項を適切に記載しておけば、妻側1人で年金分割請求をすることが可能です。(一方、私文書による離婚協議書の場合は、原則両名で年金事務所へ申請をしなければなりません。

詳細は年金窓口へ【年金機構相談窓口】

 

 年金分割のパターン

サラリーマンと専業主婦の場合は、妻からの年金分割請求は非常に重要視されます☝仕事という経済活動以外の「家事」「育児」という大切な役割及び社会的信用に大きく貢献してきた側の年金受給を確実なものにしなければなりません。

また、共働きの場合で、両者の老齢厚生年金受給額に大きな差額が生じる場合は、その差額の解消をすることができます。たとえば、片方配偶者は仕事オンリーに集中しやすい環境を維持されサポートを受けて来た一方、もう片方配偶者は、家事や育児に相当の労力を取られ(ときにはキャリアを犠牲にし)仕事や経済活動が少なくならざるをえなかったときなどは、年金分割により公平感を図りましょう☝

なお、自営業の妻の場合は、夫婦共に第1号被保険者であるため、もともと受給される老齢基礎年金に変動がないため、離婚による影響はほとんどありません☝

 

 年金分割の書き方

夫婦両名の「基礎年金番号」及び「年金分割割合」を定めて離婚協議書を作成することとなります。一般的には、特別なことがないかぎり、年金分割割合は0.5が主流です。

なお、公正証書による離婚協議書を作成するときに、「年金分割用に、年金条項の部分だけの離婚協議書(抄本)も下さい。」と公証役場へ依頼すれば、年金分割条項だけ記載されている離婚協議書(抄本)も合わせてもらえますので便利です。(年金事務所へ離婚協議の内容のすべてが丸裸になることを回避できるなどのメリットがあります。)

 

 年金分割すると半分もらえるの?

なお、満額の年金額の半分(0.5)がもらえるのか(なくなるのか)というご質問をよくいただきますが、そうではありません。

例えば会社勤めの配偶者Aの満額の厚生年金額を100とすると、結婚前の独身のとき働いて得た年金受給権分が10年間、結婚後20年間連れ添い離婚したとして、離婚後に10年間働いて満額の年金受給権を得たケースの場合で、妻は専業主婦だとすると、夫の満額(40年勤務)の年金受給権のうち、おおまかには、婚姻期間中20年分の年金受給権が対象となるため、夫が将来満額で受給する金額の半分程度が、年金分割申請を行うと、将来妻へ自動で年金が支払われるようなイメージです☝

条項⑥ 連絡先・プライバシー・強制執行

 「 連絡先の変更 」があったとき

離婚協議を交わしたあとで、相手の電話番号やメールアドレス、住所などが変更したとき、相手と連絡を取りたくても取れなくなってしまうリスクがあります。

そのようなことのないように、必要に応じて、連絡先に変更があったときは、相手へ書面等(メール含む)により必ず変更後の最新の情報を遅れることなく通知しなければならない旨、離婚協議書に記載しておくことがあります☝

また、子供の面会交流や取り決めた支払いについて、お互い最低限のやりとりが必要なケースは、必ず確認条項として、連絡先の変更についても記載しておくことが最善でしょう。

 

 「 プライバシーの侵害 」について

どのような経緯での離婚かにもよりますが、夫婦が離婚すると「赤の他人」に戻ります。

子供を通した父と母という関係性は一生続きますが、それ以外は一切他人になるのです。ですので、離婚後にお互いの生活や人間関係に干渉しないことや、再婚した場合には、その新たな配偶者との生活やその間に出来た子供についてなど、離婚後の将来にかけて変動していく生活環境や人間環境に立ち入らないように、干渉をしないように、確認的・注意的にこのようなプライバシー条項を記載するケースが一部あります。

ただし、このプライバシー条項を記載するケースは、比較的、片方配偶者が、相手配偶者(その素行)に対して不信感をもっており、このような条項を入れておきたい発想になるケースが比較的多くあります。

また、離婚原因が、そもそも浮気相手と本気で再婚したいような方の場合や、離婚した後で高い確率で再婚をすぐしそうな方の場合に多く見受けられます。

つまり、「あなたとの結婚生活はもうイヤになってので、新しい人を見つけてその人と人生を歩みたいので、これからは干渉しないでね」というような状況の離婚に多く見られる条項です。

また、一部ですが、相手配偶者にストーカー要素があるような場合に、被害者側配偶者としては、(悪い表現ですが)気持ち悪さもあるため、このようなプライバシー条項により、今後は干渉しないことを確約しておきたいというケースもあるのです。

 

 「 強制執行認諾条項 」を入れるかどうか

公正証書により離婚協議書を作成する場面で定石の条項ですが、公正証書離婚協議書の中で、「夫は妻へ金〇円を〇年〇月〇日までに支払う。」のような金銭の具体的な支払い条項があるときは「その支払いが滞ったときは、ただちに財産の強制執行をすることができる」旨の強制執行認諾条項を入れておくことが定石です。

この強制執行認諾条項があると、約束した金銭の支払いが期限までにないときは、強制執行管轄裁判所に申立てることで、すぐに相手の財産を差し押さえてくれる効果があるため、金銭の支払いを少しでもより担保しておきたい、確実化しておきたいという方は、公正証書による離婚協議書を作成することで、この条項を入れ、相手にプレッシャーを与える形式をとるケースが多いです。

なお、私文書で離婚協議書を作成する場合は、この強制執行認諾条項を記載したとしても、その記載には効力がなく、すぐに強制執行することはできません。あくまで、公正証書の場合は、公証人の証明印があることで(公証力といいます)離婚協議書(の内容自体)が間違いなく有効に成立しているものだと証明されているので、すぐに強制執行裁判所が強制執行に動いてくれるという構図ですが、

一方、私文書による離婚協議書の場合は、そもそも、妻と夫で交わした離婚協議書だということが、強制執行裁判所の立場からすれば、本当なのか、偽造されていないか、有効に成立しているものなのか、というところから証明が何らされていないので、(1)まずは裁判手続きを行い、有効に成立している離婚協議書であることの判決書を得た上で→(2)その判決書により強制執行裁判所へ強制執行の申立てを行うことで、ようやく相手の財産を差し押さえてくれると言う流れになるのです。

公正証書は、1段階で時間的にもすぐに強制執行をしてもらえるメリットがある一方、私文書は、有効無効の裁判をした上で、強制執行していくという2段階が必要となり、時間も費用も余分にかかるという点が公正証書と異なるということです☝

なお、実務上よくあるケースとして、ひとまず私文書による離婚協議書でお互いの条件の合意をした上で(下書き的意味合いの合意)その内容のまま、公正証書化していく(公正証書で作り直していく)というケースも定期的に経験致しますが、このようなケースは、私文書の中で、「後日、この私文書離婚協議書の内容に基づき、公正証書により離婚協議を取り交わす」旨の約束をするため、最終的な公正証書離婚協議書には「強制執行認諾条項」を入れるので、前段階の私文書の中にも強制執行認諾条項を入れている、というケースがあります。この場合の私文書は(本番の)公正証書のために作った下書き的文書のため、強制執行認諾条項が入っていてもおかしなことではないのです。

世間では、上記公正証書のための下書私文書として強制執行認諾条項を入れているパターンと、そのあたりは理解していないけれど、私文書での作成だけれど(わからないまま、書籍やネット上のひな型を見よう見まねで)強制執行認諾条項を入れているケースが混在してしまっているようです。☝

条項⑦ 清算条項

「 清算条項 」は大切です。

公正証書または私文書による離婚協議書に関わらず、必要となる各条項を記載した最後に、この「清算条項」を入れることをおすすめします。

そもそも清算条項とは、「前各項以外に、お互いの債権債務は存在しないものとし、離婚成立後において相手方に対し何らの請求をしないこととする。」というような内容のもので、簡単に申し上げますと、「書いてあること以外は、お互いに後で、この権利がまだあった、こういう義務がまだあるのでは、と後出しでさらに何らかの請求を相手にすることは一切できませんよ。☝」という内容の条項なのです。

これを入れておくことで、お互いの将来に渡る権利義務が確定し、法律関係が安定することになるのです。今後は、後出しは出来ませんよ! 以上ですべてですよ!ということなのです☝

ですから、離婚協議書の最後条項としてこの清算条項を記載しない場合は、離婚成立後いつ何時、権利請求をされ、または権利請求ができるとすれば、お互いの法律関係が安定せず、また精神的にも不安になるものです。よって、離婚協議書にはこの確認条項を記載することをおすすめいたします。

ただし、あえて清算条項を記載しないことで、離婚及び離婚協議成立後において、追加で相手方に対して権利請求をしていきたいようなケースは、あえて確認条項を記載しないという方法論も存在はしています。ざわと清算条項は(さりげなく)入れずに、忘れた頃にさらに相手に請求していこうという策略的方法となります。ただし、トラブルのもとを増やす行為ですので、離婚あんしんサロンは、その方法はおすすめ致しません☝

 

まとめ

離婚協議書を作成するとき、できればリーズナブルに☝は当然なことですが、お互いの未来や、子供の未来にまで大きく影響する、とてもとても大切な書面ですから、あとでトラブルになるようなことなく、正確かつ確実なものを作成したいですね。

どんな離婚も1つの窓口ですべて解決できる離婚あんしんサロンが、あなたにベストマッチする離婚協議書を、業界トップクラスのリーズナブルな料金で提供させていただきます。

 

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